1万キロの彼方から敵を撃つ−。「白い悪魔」
とアルカイダから恐れられ、初めて注目を浴
びた、米空軍遠隔操縦航空機(RPA)部隊の
内情とは何か?
著者は米空軍の中佐で情報将校、遠隔操縦航
空機(プレデターとリーパー)の操縦士と第60遠
征偵察飛行隊指揮官の経歴及び、アルカイダ幹
部の殺害任務参加の経歴を持つ。
とアルカイダから恐れられ、初めて注目を浴
びた、米空軍遠隔操縦航空機(RPA)部隊の
内情とは何か?
著者は米空軍の中佐で情報将校、遠隔操縦航
空機(プレデターとリーパー)の操縦士と第60遠
征偵察飛行隊指揮官の経歴及び、アルカイダ幹
部の殺害任務参加の経歴を持つ。
普段プレデター飛行隊は、他部隊を支援しても何一つフィードバック
をもらわない。文句しか言われない。いかに些細であれ失敗すれば
集中砲火を受ける。我々の世界では、フィードバックがないのは、自
分たちがやるべきことをきっちりこなしている印だ。(p.384)
同書によるパイロットの定義は「地球上もっとも高いところにいる
生命体」となっている。これはパイロットの傲慢さというより、地上
より遥か長く遠くて誰も助けに来てくれないという任務の危険性と
このことからくる自信を表現しているものだという。
しかし2003年の12月当時、プレデター・プログラムに志願する者は
ほとんど存在しなかった。著者もふくめてプレデターパイロットの多
くは、適性や技術面の壁、昇進の壁など「ワケありで」プレデターの
部隊に配属されれば先はない、とされていた(著者は情報将校出身
の内勤者で、前線で戦うためにプレデター部隊に志願した)。
著者の回想を通して見えてくるのは、遠隔操縦機による偵察・攻撃
任務が決して気楽ではないことだ。彼らは様々な戦術面や技術面で
の課題を乗り越えなければならなかった。決してディスプレイの前に
ある微動だにしない操縦席でコンピュータゲームをするのではない。
アフガニスタンなどでの悪天候下での飛行制御、誤爆を防いで空爆
の効果を出すため、地上にいる統合末端攻撃統制官などと連携する
交戦規定の厳守や、他部隊との連携、プレデターの主力兵装である
ヘルファイア・レーザー誘導ミサイルの攻撃調整や、ロジスティクスな
ど、数え出すとキリがない。
任務を終えて基地を出るとそこは戦場ではなくて、自分が暮らしている
町になることからくるメンタル面での苦悩のほか、上層部や陸軍や海
軍との抗争などを経ながら、期待されていなかった部隊が次第に「次
世代の航空戦のシンボル」となる過程が等身大の視点で述べられる。
本書は遠隔操縦航空機(RPA)の法的・倫理的・政治的課題を論じる
ためのものではないが、次の点は頭に入れる必要があると思う。すな
わち地上を物理的にかつ継続的に支配出来ない空軍は強力な機動
能力と火力を活かして、限定的に政治目的と軍事目標を達成する「技
術手段」になったとき、ベトナム戦争のように敗退及び弱点を露呈しや
すくなることだ。
地上を物理的にかつ継続的に支配するのは歩兵の他にはない。
戦争とは他の手段を持ってする政治の継続である、と著作『戦争論』の
なかでクラウゼヴィッツは述べた。将来、戦場の空は無人機が主力と
なるのか?答えはまだ無いが、本書で描かれているのはどうやら紛れ
もなく 「旧世代にないテクノロジーをもってする政治の継続」を目指す新
世界の幕開けに他ならない気がする。
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