いけない…
人間趣味にハマリ出すと○○好きは
こうあるべきだと ありもしないルールがある
と思い込み 更に他人にもそれを強いる
第3巻16本目『ファイト・クラブ』より
30ン歳独身OL・木根真知子(きね・まちこ)さん
の趣味は1人で映画を観ることと感想を自身の
ブログ『1人でキネマ』に書くこと。会社では課長
職で、実は美人なのだが偏った映画愛のため
に迫害(苦笑)を受けてきた彼女は、社会性(擬
態)を使い、会社では趣味が映画なのを隠して
います。
こじらせちゃってる木根さんの残念な生き様(笑)
を通して見えてくるのは、映画好きの映画好き
による、映画への「愛」と「哀」が織り成すギャグ
の数々です。人間、自分が好きなものを他人に
推薦するときにあるのは自分は○○な人間な
んだよ、という社会的承認欲求が根底にあるも
のですが、マズローの欲求5段階説の通り、こ
の欲求が承認されないと、人は孤独感に陥りま
す(趣味は自己実現欲求の一部でもある)。
この作品はキレイな画力でそのあたりの孤独を
上手く、パワフルなギャグ漫画へと昇華させて
おり、正に映画好きの映画好きによる、キネマ
への「愛」と「哀」が堪能出きる作品です。作品
に登場する映画タイトルも、「ターミネーター3」
や、「ファイト・クラブ」など絶妙の偏り加減で
す。元ネタを知る人も知らない人も楽しめます。
しかし、自分の姪に『ジョーズ』って(苦)
あと、映画も作品によってヒエラルキー(階級)がある
ことに触れつつも、好きな作品を好きに見る木根さん
の姿勢が痛快です。「どんな映画が好きかで人間の
価値が決まるわけじゃないのに…」
余談ながら僕自身、アンドレイ・タルコフスキー監督の
作品群に挑戦したこともありましたが難解でした(笑)
ある意味、これはギャグマンガの姿をした映画ファン
の「愛」と「哀」を巡るルポルタージュとも読める気が
するのは気のせいだろうか? 否、間違いない。
ヤングアニマルDensiで連載中です。
0 件のコメント:
コメントを投稿