2017年9月29日金曜日

【漫画推薦】あるのはキネマへの「愛」と「哀」の喜劇なんですね 『木根さんの1人でキネマ』

いけない…

人間趣味にハマリ出すと○○好きは

こうあるべきだと ありもしないルールがある

と思い込み 更に他人にもそれを強いる

第3巻16本目『ファイト・クラブ』より


30ン歳独身OL・木根真知子(きね・まちこ)さん

の趣味は1人で映画を観ることと感想を自身の

ブログ『1人でキネマ』に書くこと。会社では課長

職で、実は美人なのだが偏った映画愛のため

に迫害(苦笑)を受けてきた彼女は、社会性(擬                 
態)を使い、会社では趣味が映画なのを隠して

います。

こじらせちゃってる木根さんの残念な生き様(笑)

を通して見えてくるのは、映画好きの映画好き

による、映画への「愛」と「哀」が織り成すギャグ

の数々です。人間、自分が好きなものを他人に

推薦するときにあるのは自分は○○な人間な

んだよ、という社会的承認欲求が根底にあるも

のですが、マズローの欲求5段階説の通り、こ

の欲求が承認されないと、人は孤独感に陥りま

す(趣味は自己実現欲求の一部でもある)。                    

この作品はキレイな画力でそのあたりの孤独を

上手く、パワフルなギャグ漫画へと昇華させて

おり、正に映画好きの映画好きによる、キネマ

への「愛」と「哀」が堪能出きる作品です。作品

に登場する映画タイトルも、「ターミネーター3」

や、「ファイト・クラブ」など絶妙の偏り加減で

す。元ネタを知る人も知らない人も楽しめます。

 しかし、自分の姪に『ジョーズ』って(苦)














あと、映画も作品によってヒエラルキー(階級)がある

ことに触れつつも、好きな作品を好きに見る木根さん

の姿勢が痛快です。「どんな映画が好きかで人間の

価値が決まるわけじゃないのに…」

余談ながら僕自身、アンドレイ・タルコフスキー監督の

作品群に挑戦したこともありましたが難解でした(笑)


ある意味、これはギャグマンガの姿をした映画ファン

の「愛」と「哀」を巡るルポルタージュとも読める気が

するのは気のせいだろうか?  否、間違いない。


ヤングアニマルDensiで連載中です。

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