僕の中では関口知宏さん、といえば司会者・タレントの関口宏の放蕩息子
のイメージがあったが、実は彼は旅が苦手とのこと。飛行機が嫌い、外国
の食べ物が日本と違って選択肢が極端に少ない、時差と機構の差で毎回
体を壊す、と苦痛と嫌いなものの塊と述べていて、意表を突かれました。
本書は知宏さんの、8年ぶりの鉄道紀行の記録と絵日記エッセイです。
単にヨーロッパ旅行に行こうと思っても出来ないから、彼のひょうひょうと
した(?)雰囲気をガイドにしてオランダ、ベルギー、オーストリア、チェコ
の旅情を紙面で楽しむのも十分ありですが、その繊細さと聡明な眼差し
にて捉えた、 各国の国民性や気質や、逆に欧州の側から見えてくる日
本というものを感覚で味わって欲しいなぁ、と思います。
誰も自分の両親の子供時代の記憶が無いように、日本も明治維新以前
の欧州の記憶はありません。なので、欧州の近代史を読んで理解しよう
としても頭痛の連続になりそうなところなのですが、 知宏さんのスタンス
は、なんとまぁお見事です。
僕は他国の国民性を発見「する」ためにこの旅をしてきた
のではなく、自然にそう「なった」のです。旅を通して気質や
国民性を見ようとしなくても見え、聞こうとしなくても、聞こえる
ように「なった」のです。つまり、この旅の目的に自然に「なった」
のです。 (p.157)
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