国際国立美術館は、美術館の主要部分が地下3階構造になって
いる、世界的に見ても珍しいスタイルになっている。そして地上部
の格子風のモニュメントは、ルーブル美術へのリスペクトとされて
ます。
術館は、「東洋のブルックリンとしてのミュージアム」と思ってます。
初期昭和レトロな建物が現代性と混在するこの街だからこそ。
ジョヴァンニ・ベッリーニ
《聖母子(赤い智天使の聖母)》
油彩/板 77 × 60 cm
日伊国交樹立150周年特別展となる、『ヴェネチア・ルネッサンスの巨
匠たち』は、本当に素晴らしかったです。「自由奔放な筆致による豊か
な色彩表現、大胆かつ劇的な構図を持ち味とし、感情や感覚に直接訴
えかける絵画表現の可能性を切り開いていきました」との説明に、さも
ありなんと感じた。フィレンツェの緻密な作風と違って、どの作品の画風
も「カジュアルさ」が溢れていました。
群雄割拠、他国の侵略も絶えないイタリアにあって、一先年もの
長きにわたり交易で欧州を席巻、自由と独立を守りつづけた海
洋国家ヴェネチア。異教徒との取引に積極的であった一方、聖
地奪還を旗印にする十字軍に加担しつつ、これを巧みに利用して
勢力範囲を着々と拡大する--- 【略】
(塩生七生『海の都の物語』の解説より)
異端審判、魔女狩りや、宗教抗争とも無縁だった、ヴェネチア共和国の
自由さと繁栄を感じさせる作品たち。「肉体の眼で見るのではなく、知性
の眼で見るべきだ」、とゲーテが彼の共和国を評した意味を感じさせられ
ました。塩野さんの言葉を借りれば、有利と判断した場合意外は、一度も
モラリストであろうとしなかった民族であった、という。
なので、聖母子画のように「古典的で行儀良い」作品が見受けられない
わけが、何となくわかった気がしました。事実、ヴェネチアはナポレオン
の侵攻まで1千年継続した「政治の技術力」の国家であったのだから。
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