2016年11月5日土曜日
【読書雑感:革命家と食欲のルーツを追い求めて】『辣の道 トウガラシ2500キロの道』
著者の加藤千洋氏は、朝日新聞編集委員、同志社大学大学院教授のほか
に、『報道ステーション』のコメンテーターなどを務めてきた経歴をもつ。
400年前、南米から中国に渡来して各地に伝わったトウガラシは地域にいか
に定着し、暮らしをどう変えたのか?四川省からのルートを追って大陸2500
キロ、さらに京都へ、東京へ脚を運ぶノンフィクションで、読むだけで額に汗が
流れそうになる一冊が、『辣の道 トウガラシ2500キロの道』です。
さて、問題です。この料理は何でしょうか?
紅白火鍋ですね。
僕は神戸のある店で、初めて食べたたとき、思わぬデトックス効果に襲撃
されて、トイレを目指して悶えすぎた経験があります。この料理の真髄はこ
んなほどの「刺激と旨い辛いのエッセンス」であることを思い知らされました。
余談さておき著書の取材によりますと、1983年の秋のこと、重慶料理界の
長老である呉萬里さんは新しい火鍋を全国料理技術大会の出品前に、だ
れかに試食をしてもらおうと、北京在住の老幹部たちを呼ぶことを決める。
なんと、自ら現れたのは鄧小平だった!
ところかわって、日本。京都の先斗町にある戦後間もない開業の「おばん
ざい(お惣菜)」の店にて(文化人御用達のサロンでもあった)。ここのお品
書きのひとつに、万願寺甘とうの甘辛い炊きものがある。そしてこの店の
屏風にある即行の詩の筆をとったのは、司馬遼太郎さんとのこと!
「辣の道」(スパイス)を旅した気分になる一冊です。
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