2016年12月4日日曜日

【美術鑑賞:キャンバスの中で生きている本質】 阪急百貨店 『ホキ美術館名品展』


一見すると写真に見えますが、実は絵画なのです!

細密な写実絵画です。



島村 信之 《日差し》 2009年



最近、知ったのですが、千葉県には日本初の写実絵画専門の

美術館になる、ホキ美術館があるとのこと。

阪急百貨店ミュージアムに今回、『ホキ美術館名品展』が来た

ので、さっそく脚を運んできました。






15世紀の初頭、レオナルド・ダ・ヴィンチを頂点に完成されたと言われる

のが写実絵画。しかし、19世紀初頭に写真が発明されますと写実絵画

の価値が下がり、抽象絵画をしないものは画家にあらざるという世相が

表れたこともあって、画家から写真家に転向する人も続出したそうです。



羽田祐 《サン・ジミニアーノ初夏》 2012
原雅幸 《光る海》 2010


 
ホキ美術館公式サイトの説明を借りると、「写実とは、目の前にある対象を

再現することでも模倣することでもなく、その対象のずっと奥にあるものと

出合うこと」、「物事の本質を見つめ続け、存在を描くこと」となっている。



話は少し変わるがボタニカルアート(植物学的絵画)というジャンルがある。

産業革命以前より専門誌も発行され続けており(英国キュー植物園)その

理由のひとつが、人間の目だけが本質をサンプリングし、描くことで第三者

に「本質」を伝えることが出来る(もちろん、ボタニカルアートは専門の教練と

学識が必要となってくるが)からだ。カメラは写すことしかできない、と。



このことは、写実絵画が現代で問われている役割にも繋がっていると思う。

僕の絵心は、ノートに雑な鉛筆スケッチが関の山(笑)ですが、3ヶ月から

長いもので1年をかけて描かれる写実海外の世界で、皆さんも芸術の冬

に、心揺さぶられてはどうでしょうか?






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