オノ・ナツメさんの漫画の特徴は、何を今更と
言う向きもあるかとは思いますけど、海外の漫
画やアートに強く影響を受け、まるで外国映画
を見るような大人な雰囲気とテンポの作風さに
あります。
今回紹介する『レディ&オールドマン』はその
作風を遺憾なく発揮し、60年代のアメリカ、ロサ
ンゼルスのオールディーズな雰囲気を同年代
映画のように描きます。
舞台は63年の米国・ロサンゼルス郊外。
好奇心旺盛でお節介焼きなダイナー(食堂)の
娘、シェリー・ブライトは、彼氏と別れたある日
の午後、100年の刑を終えて出所したという「老
人」と出会い、ひょんなことから自宅のダイナー
に連れて帰ることになる。旧収容棟の「最後の
住人」と噂される彼の正体は何と……。
ここから物語は動き出す。
時に事件に巻き込まれ、時に事件を解決しな
がら、何も出来ない男と、好奇心で行動派の娘
の2人はある成り行きから「運び屋」として相棒
同士となり、街から街へと渡り歩く。
彼らの通り名は“レディ&オールドマン"!
静かに迫る、謎の追っ手の追跡を逃れながら
男は、自分自身の過去を見つけることが出来る
のだろうか?
現在、ウルトラジャンプで連載中で、話の盛り上がりもこれから
のところですが、ウルトラジャンプという青年誌のなかで60年代
の米国(戦後の穏便な平穏さから、若者たちのカウンターカル
チャーの扉が開いた時代ですね) の臭いがプンプンする作品
を描いているのは、逆に新鮮で斬新に思えます。ジョージ・クル
ーニーの映画『マイ・インターン』で主人公が述べる「クラシック
は不滅だ」はクラシックの普遍さを説いた台詞ですが、普遍的
作風の中で織り成す主人公2人の凸凹な相棒関係も魅力的で
す。
片方は100年の刑務を終えた静かな年季を感じさせる男、また
一方はまだ人生これからで度胸と好奇心満載の19歳の小娘。
余談ながら、作中にスティーブ・マックイーンやレコードだけが
上陸したばかりで米国ではまだ無名のビートルズがちらっと
登場したり、主人公がエルヴィス・プレスリーのことを知らない
など、作品の時代感と独自性を打ち出す描写にも注目です。
これからも続きから目が離せない作品です。
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