2017年10月14日土曜日

【洋楽雑感】英国の国民的ロックバンド、ステレオフォニックスが奏でる米国南部の薫り 『Maybe Tomorow』

英国ウェールズ地方の田舎町から飛び出

し、90年代のブリットポップ終焉と、その後

のギターロック不況を壁を乗り越えてきた

UKの国民的な労働者階級バンドと言え

ば、ステレオフォニックスの他ないだろう。






前回の記事で紹介した、『ヨーロッパ・コーリング』でも今や

UK音楽シーンのチャートを占めるのは高額の授業料を払う

ミュージシャン養成学校を卒業した、ミドルクラス以上の若

者たち、という実情が述べられており、これはビートルズは

無論のこと、セックス・ピストルズ、ザ・スミス、オアシスなど

名だたる労働者階級ロックンロール・バンドの後釜が登場

しない文化的危機として嘆く人も多いだろう。



同期のバンドが去っていくなか、ステレオフォニックスは王道

と普遍のギターロックを鳴らし続けてきたバンドで、 UK音楽

の特徴の一つである「ひねくれ」感がない。彼らが敬愛する

影響を受けたバンドは、AC/DC、レッド・ツェッペリン、エア

ロスミス、ZZトップ、ゲーリー・オールドマン・ブラザーズなど

骨太で男臭いサウンドばかりだ。(田舎出身の彼らにとって

入手可能な音楽は、メジャーなものしかなかっただろうことも

想像できるのだが、これはまた別の話しで)。



彼らの音楽を簡単に分類すると、ポップで力強いストレートな

ロック(あるいは米国の初期パールジャムのような70年代調

のハードロック)、古典作品への敬愛を感じさせるアメリカの

ルーツ・ミュージック、叙情的でスペクタクルな曲群(特にスト

リングスが効いている8枚目のアルバム)からなっています。






今回紹介する曲は、映画『クラッシュ』(2005年アカデミー賞作品賞受

賞)のエンディング曲として使用された、「Maybe Tomorrow」です。

米国南部のルーツミュージックに影響を受けた曲で、歌詞の内容は

暗めですが、ポジティブで成熟した空気に覆われたブルース曲に仕

上がっています。


こういう普遍で古典な曲を書けるUKバンドは再び出るだろうか?

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